9時間9人9の扉の続編にあたる
単体でもプレイに支障ないが前作のネタバレ不可避だし気持ちの入り方も違う
そりゃ順番にやるに越したことはない
このエントリーで本作のネタバレも不可避
脱出パートと囚人のジレンマパートを繰り返し
その度に分岐する各シナリオを見ながら
事件の全体像と各キャラの背景を掴んでくSFサスペンス
率直な印象としては「やりすぎ」
ジャンル的に同じように仕上がるものなのか
スパチュンで言うと弟切草・かまいたちの夜・ダンガンロンパのテイスト
剣乃ファン的に言うとデザイア・EVE・YU-NOのテイストが全部ある
地下施設の加圧と終盤のアレはEver17も思い出すね
ここに量子論・シュレディンガーの猫ほか多世界解釈や思考実験のフルコースが加わって
もはや作家の集大成の佇まい(実際はシリーズ完結編ですらない)
そもそも脱出ゲームってすごい特殊状況な訳で
ガチの理由づけ要るかなあ
事件に遭遇しまくる探偵は非現実的でも
「そういうものだから」って割り切るのが大人の姿勢じゃん
刑事が探偵に「なんで毎度現場にいるんだ」と怒ってみせるような
軽いジョークにするくらいでいい
むしろ事件に遭遇しまくる理由をしっかり構築して
ガチガチの設定出してこられたらちょっと引くよね
そこ頑張らなくていいよっていう
さて詳しい内容について
囚人のジレンマがよくキャラを動かしてて
色の組み合わせで部屋分かれるのがオシャレ
ただこれ本来6人用の仕様なんだよな
ノナリーにするため、またメンバー欠落の余裕をもたせるため
6のうち3を2人で1ユニットとしたんでしょう
ゴチャゴチャした設定にさらなる追い撃ち、もうライト層にアピールする気が皆無
分岐(既読範囲)の好きな位置に自由に飛べることで
同じシナリオや脱出を繰り返さなければならない前作の苦行は解消
ただし別々のルートで同じ文章が出る部分は多くスキップ方法がわかりにくい
説明書ないんだからスキップはワンプッシュでさせてくれ
でなければせめて操作方法(コントローラーイラストのやつ)を
メニューのトップページからいける位置に置いてくれ
だいぶ同じ文章につき合わされたよ…
移動おっそいしドア開くモーションは長い
で力ずくOKなのもモヤッとした
2人組のときの入力とか9の扉から出るとか
ゲームマスターが全部見ててプレイヤーの生死握ってて知能と騙し合いのゲームやる際に
暴力OKってのは美しくない(展開の都合なのはわかるよ)
「暴力ふるうとペナルティが課せられます」ができるのにしないのは美しくないわ
毎度話をいいところで止められる、
(理由づけあるとはいえ)こっちが協力を選ぶと裏切ってくる奴を裏切ると
向こうは協力選んで責めてくる、
加えて(理由づけあるとはいえ)他のキャラが9点になると強引に出てくのに
自分が9点になっても強引に止められるのよ
とにかくイライラするw
最大の問題は「つづく」でシナリオ止められた後
別ルートで情報入手すると先に進める仕様
これ各ルートが全然違う話だから成立するやつで
同じシチュエーションの似たような状況間でやっても感動薄いどころか
混乱して理解まで薄まるのよ
戻ってきたとき「この世界線では誰が死んでて誰が休んでるんだっけ?」ってなっちゃう
思い出したとて「解決しなきゃ、突破しなきゃ」の熱がだいぶ冷めてる
だって状況が似たり寄ったりなんだもん
ついでにロボットの感情描写も気になった
こんな明らかに哲学的ゾンビやクオリア等の概念を履修済みのライターでも
結局ロボットを人間として描いちゃうことにげんなり
ストーリー盛り上げたし剣乃もバリバリやってるから絶対悪とは言わないけどさ
脱出の謎解きはいいバランスで
無駄情報が少なく使用済みのアイテムは消えてく親切設計の一方
個々のパズルはそれなりハード
それこそパズル誌のような数理・論理問題も多くて閃き一発では解けない
それでもイージーモードに切り換えるとかなり導いてくれるから
パスワード入力系含めネットで答え探さなくてもいけるラインじゃないかな
ヒント不十分でも見当つけられて回数や時間の制限ないのでなんとかなる
(すごろくのマスの数え方だけはまだ納得してないw)
答えが2つずつあるのも楽しい
ただ別解的な、進行に必須じゃない方が難しいとは限らず
難度の強弱はっきりさせた方が美しかったなとは思う
…とまあ書き出すと不満だらけに見えるかもしれないけど
めちゃくちゃ濃厚で、しっかり楽しんだ
人類が量子論に到達したことと同様に
ゲーム界がこんな高度な知的遊戯に到達したことがすばらしいし作り手が報われてほしい
浅いスマホゲームのガチャに万単位かける人たちがいる、
そのあおりで潰させちゃいけない大事な文化だよ
購入して支える以上のやり方を模索していきたい
これだけニッチにニッチに尖らせれば確かに大ヒットしようがないけれど
近い題材でもわかりやすく整理してハネたシュタゲの例もある訳で
そういや文章はPCのADV時代の化石のような
下ネタ・親父ギャグ満載…ではあるものの
キレのいいネタも多く終始テンポよく爽快で驚いた
古いセンスを残しつつスキルアップしたのか
アシスタントがいい仕事したのかは不明(たぶん後者)
英語のはずなのに日本語由来のネタ言う点も
開き直ってこれだけ乱発されるともう気にならないわ
ファイのさばさば感もナイス
こういうタイプのヒロインの作品がもっと増えてもいい
なお当方
流血してる死体としてない死体が同時に出た時点で
流血してない方は擬態かなと疑う程度には場数を踏んでおります
合ってたかどうかは伏せとく
政治家の愛人と寝た話は次作で回収されるんだろうか??