『左ききのエレン』

マンガ

リメイク版を見た、これは圧倒的名作
鬼滅なり推しの子みたいに騒がれていいと思う
いや話題になった感はあるか?
しかし社会現象クラスじゃなかったよね

愚直に天才に憧れ続けるサラリーマンデザイナーの光一と
若い頃出会ったエレン、ほか様々な職業人・アーティストたちの群像劇
島耕作よろしく光一の様々な年代・役職に渡って描く

「天才になれなかった全ての人へ」
のキャッチコピーを聞くと凡人視点の凡人に刺さる物語を想像するけど
この天才ってのは歴史に残るレベルの超人を指してて
メインキャラは皆すごい努力して結果出しまくってる超優秀な人たちです
応援できても共感はしづらいw

会社パートが地に足ついたリアル職業マンガである一方
アート関係は突き抜けててもはやニュータイプの佇まい
正解が1つじゃない分野である以上
天才が必ず他の天才を理解する訳ではないと思うんだよなー

感触としてはReal Clothesのビジネス・ファッション
ピアノの森の芸術性を思い起こす
そんな良作たちと比べるととにかくボリュームがデカい、キャラが多い

濃厚に劇的に盛り立てる様は少年マンガ的で
バトルシーンのようですらある
物理で戦わないため戦闘力のインフレは起こらないものの
名言のたたみかけがだんだん重くなってくる
好みで言えばもっとさらっとしててよかったかな

とはいえ単体で熱いドラマを
現実の出来事や人物、文明機器の発展と絡めて魅せるのは本当に見事

オンリーワンの価値も付加しやすい

おそらく最大のネックは時系列が飛びまくること
結構読者振り落としたんじゃなかろうか
なんとももったいない

意図的にやったらしく、アート的でもある
例として挙げてるパルプフィクションはそれでいいかもしれないが
この王道重厚展開は小細工ナシで順に並べた方が断然合うよ
朝ドラや大河の楽しみ方が順当な作品だと思う

ブギーポップなんかも時間前後するのは
視点を一人ずつ、事件を様々な角度から見せる構成、かつ奇抜な内容だから合うんだ
本作とは対極に近い

なおエレン(天才)が描いたものを直接読者に見せない、
表現できないすごさを想像してくれってのは一応わかるけど
元々描いてる作者から作画引きはがして別の人つけてのリメイクなんだから
表現してやるぞ!って強い気持ちで挑んでほしいところ
ストーリーがこれだけ壮大な仕事してるので尚更

あと「オレはオレが諦めるまで諦めない」のフレーズは
冷静に考えると「この御恩は忘れるまで忘れません」の類型というか
ほぼ進次郎構文
言葉って誰がどんな状況で言うかが大事なんだなあ。

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