『熱球』

公立弱小野球部ものが短いスパンで来た
こっちはかなり野球色強め

といっても話の軸は田舎の家族や昔の仲間の冴えない現状という普遍的なネタと
トラウマな思い出という特殊なネタです

事件が起こったりしない、内容は平凡な浮世のしがらみだらけですが
しっかり読ませる、引き込む力がある(つまり結構重い気持ちになる)
ごまかしの効かない作家の力量がストレートに発揮されるタイプの作品

とにかく村社会の陰湿さが炸裂する
考えてみるとリアルに体験したことはないから想像上の産物なのかも…
いや実際たくさんあるんだろうな
村に限らず狭いコミュニティにはよくあるんじゃないか

その点でもディープに感情移入させる位置に主人公を置いたように見える一方で
部活の指導姿勢はいき過ぎてちょっと引くw
ライト勢にガチ勢のやり方あてはめたらダメだよ

これは美しい過去にとらわれてとか苛立ちの発散と解釈するより
(私と作者の)世代の違いと見るべきなのかなー

ちはやふるの先生のセリフに
(青春全部懸けても勝てないなんてことは)全部懸けてから言いなさい的なのがあって
解釈によってはかなり時代錯誤の無茶ぶりだなと思った覚えがあります

人生って何かと気が重いよねという共感の中に
それでも前に進むんだと希望を感じさせてくれる良作、上京中年に特に刺さります
登場人物の息遣いがリアルで映像化や教科書にも合う系統かと。

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