『地方自治講義』

地方自治を勉強できて
でも教科書的な無機質じゃない本ないかなと(頭に入りにくいから)
思ったところにちょうどいい感じの一冊
自治体という概念や歴史についてじっくり語ってくれます

ただ著者が役所勤務時代に嫌な思いをしてきたのか
「地方自治は良いもの・国は地方を縛る悪いもの」って前提が強すぎる
市町村合併は利益率が高まるという錯覚のためだとか役所のタテワリは陰湿だとか
ちょいちょい私情・バイアスが垣間見えて
素直に受け取っていいものか不安になります

まあ省庁が権限や予算に貪欲ってのは一般に言われますが
官僚だって公益は追ってるでしょうし
ぶんどった分ポケットに入れられる訳でもないですからね
前提が譲れないにしても根拠に厚みをもたせてほしかった

あとそもそも一般論として地方分権の流れはあって
市民の声を反映させる場所が近くにある方がいいという考えはある
ただ実際そういうシステムが作れたとして具体的に何をするか、と
訊かれて一体どれほどの人が答えをもってるでしょうか

大半の人はせいぜい「税金は安く、公共サービスは厚く」程度じゃないの(偏見)
現状の問題→地方自治の実現→状況改善というリアリティ・具体性を示せないと
結局インテリの言葉遊びに終わってしまいます

とはいえ見どころもあった
人口の流出入など丁寧に調べられてて論理的だったり
憲法制定のやりとりの分析に説得力があったり
そのへんはさすが教授というべきか

身も蓋もないですが
大きすぎず小さすぎず適切な規模はどこかってだけの話とも言えます
道州制だってそうですよね。

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