『ハイパーインフレーション』

マンガ

圧巻の高密度作品
これがマンガ文化の最高到達点だと宣言したい

架空の世界(産業革命期イギリス風)で
奴隷にされる人種の少年が紙幣を生み出す力を得て
売られて行った姉を取り戻すべく戦うお話

人身売買のあるシリアスな世界観で貨幣経済について解説しながら
おバカなネタを連発する落差がエグい
アリスソフトのゲームでかろうじて見かける幅

紙幣は見た目精巧な一方全部同じナンバーで
その弱点をカバーしつつ駆け引きの頭脳戦を展開する
能力に制限つけることで物語が豊かになる教科書みたいな事例は
後のサンキューピッチにも色濃く引き継がれてる

キャラ一人一人が濃く、それぞれ異なる行動原理を持つため
状況に応じて敵味方が変わったり
目的の異なる者が上手く噛み合ったりするのが見事で見応え満点

読者が思いつくようなことは引っ張らずにすぐ消化して
スピーディに二転三転する
「あのときあれをしなかったのはこういう理由だよ」を適宜挿入して
ズレたツッコミを生じさせない徹底っぷり

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それこそサンキューピッチで劇中のキャラが
皆違う目的で噛み合ってる状況の面白さを説明する場面があって
読めばわかる魅力をわざわざ言うのは野暮なんだけど
あえて言わせたのは
ハイパーインフレーションのときに読者がついてきた手応えが薄かった結果
やむなく歩み寄ったようにも見える

まるで太平天国演義からワンナウツの流れだなーと思ったら
太平天国演義の連載開始はワンナウツより後だったw

一番面白いマンガや一番好きなマンガを選ぶのはなかなか困難でも
自分が審査員だったら一番高得点つけるのはこれだわ
評価すべき要素がとにかく多くて濃い
少なくとも進撃の巨人くらいは称賛されていい

なお主人公の少年をゴリゴリ性的に描いてて
輸出を受け付けない国が結構ありそう
地球の人間に置き換えると18歳、ってことにすればいけるか…?

これも本作の魅力の大事な一部で作者の持ち味が存分に出てる
安易に削ってはいけないのだ
フィクションの中で人体実験しても核兵器を使ってもいいのに
性関連だけタブーがあるのは公正さを欠くよなあ
二次元ならなおのこと。

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