『進撃の巨人』

マンガ

やっと書くぞ
10巻くらいでドロップアウトしたのをあらためて読み切りました
消極的なネタバレはたぶんする

魅力を感じつつ止まってたのは食い合わせに違和感があったからで
死と隣り合わせの日常・軍隊のじめじめしたカラーと
巨人化・不死&無限回復のファンタジーを同一作品内でやるのが受け付けなかった
ガンダムの世界観でマジンガーZが機械獣と殴り合ってるみたいなイメージ

結局その点は解消しなかったんですが
(一族の誰かがランダムに能力継承するのはもうフルバ見てる気分)
最終的にそれどころじゃないくらい大変な事態になってしまった
ADVで見るような途方もない規模で
作者やスタッフも当初はこんなメジャーになるつもりなかったんじゃないかな

実際巨人の豪快さや立体機動の戦闘が集客に大きく貢献して
そこ(のみ)に惹かれた人たちは内政パートで離れてった訳ですね

また「正義の物語」という形容や明らかに訳アリ感出してたライナーの様子から
ナデシコみたいな「俺たちが悪かったのか」的構図を想像してたんですが
う~んこれは…
ほぼマーレが悪いよなあ

大昔の件を延々いびってくるだけならまだしも
抑圧し続け都合よく鉄砲玉として利用し、しかも同じ民族同士で殺し合わせてるのは
さすがに擁護できる気がしない

ただこの強国に内戦させられる図をはじめ
復讐の連鎖、自衛のため兵器を使うか否か、
外敵の脅威が迫る中の方針をめぐる国内の争い、クーデターによる軍国化、民族浄化等々
人類史における不幸な争いのフルコースですよ
直接的じゃないものの一部の地名や文化に地球と繋がるものがあり
「そう遠い場所のことじゃないぞ」というメッセージを強く感じます

もう世界観と大きな出来事を追うだけで紙面が埋まる
「あっさり描いてるけど当事者は大変だったよね?」という部分も多く
じっくり掘ればまだまだ巻数を伸ばせたはず
(連載開始時点の実績しだい?)
特に序盤の、物語の軸になる同期の仲間たちと訓練を通して関係を深めるプロセスは
後の感情移入の上でもっと時間をかけてほしかった
読者が離れないうちに急いで展開を動かしたように見えます

あとフルコースの目まぐるしさに加えて
敵味方入り乱れたり主人公が視聴者さえ置いて突っ走ったりする様子は
なんだかギアスの二期を見てる気分でしたが、実際思いの外ルルーシュでしたね

戦闘面ではオーソドックスなRPGのボス戦風に収束したのが惜しい一方
細部も行き届いてて伏線が非常に豊富、かつキャラクターの表情が豊かで
緊張感の中なりの個性とユーモアが炸裂してます
(家がー!は日本語由来のため禁じ手だったと思いますが)
どことなくギャグマンガ日和に近い絵柄もシリアスな笑いに拍車

そういやオニャンコポンはハンジがつけた不名誉なあだ名かと思いきや本名だったのか?
結局ハンジの性別はどっちなのか
エレンがサシャを笑ったのは「そこで肉かよ」って意味だったんじゃないか
(特にフォローがなかった)
とにかく語りシロが尽きません

印象に残ったのはクーデターに臨むエルヴィンの自制力と冷静さで
体制側や後のイェーガー派と一線を画すものがあった
正しい目的があっても権力は人や組織を凶暴にすると警戒したのでしょう
ギャグ面ではジャンが必死の形相でおかっぱディスったのが優勝かな

大胆かつ繊細に、ドラマチックに問題提起する壮大なエンターテインメントです
外国の様々な環境の人たちに読んでもらう価値がでかい。

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