『占星術殺人事件』

もともと有名ではあったのかな
ちょっといろいろあってさらに名の知れてるタイトル
いつか読みたい、が もう読んどこう、となってこの度ようやくです
言い方ぼかしますがトリックにふれるため未見の方はご注意

多くの人が謎に挑戦した40年前の未解決難事件という位置づけで
頭のキレる探偵役(占星術師)に相棒の話者が詳しく説明するのが前半の展開です

明らかに誤ったのはずっと会話で回すのに同年代で口調の似た男2人に設定したこと
説明と質問で構成される部分はまだイメージしやすいですが
ちょっと議論始めると今どっちがしゃべってるのか頻繁に見失います
(内容さえ追えればいい、っていうストロングスタイルも不可能ではないけども)
男女にするなりどっちか敬語にするなりで済む話

しかも話者が無個性の引き立て役なのに
探偵役が偏屈・雄弁・生意気で、すごく…テンプレです
古典寄り(40年前の作品)だから古典的なのはしょうがないのだろうか
警察の人が捜査は足だとかこっちは遊びじゃないとか悪態ついてくるのもテンプレ
温泉サスペンスで毎回やれるやつですね

で途中から手がかりを求めて京都に乗り込んだりするんですが
昔の事件ということもあってほぼ収穫なし
読者としては事件の全体像聞いて謎にぶつかり盛り上がった気分になった後
話者(名前もパッと思い出せない)が無駄にうろうろする様子を
ずっとずーっと見せられる、つまりおあずけを食らいます
尺を稼ぎたいのか映像化ねらいなのか、
明治村まで足をのばす長い観光旅行ですよ

しかも肝心の探偵君が別行動になってしばらく出てこない
終盤の解決のきっかけと後日談もテンプレ!

で、トリックは非常に大がかり
…であるがゆえに荒っぽくて危なっかしい
科学捜査あると看破されるってことで戦前(昭和11年)を舞台にしたのでしょうが
それでも相当ハードです

物語全体が特殊なトリックを成立させるための仕様になってる点は
なるほど金田一少年の上流に位置する感じがしますね
あー言っちゃったよ
(まあ実行条件が限定されるのは実現しづらいって意味ではいいことなのかも)
むしろ同様のことをやった点だけじゃなく
同様でないことをやった点で異人館村との対比が面白いんです
あらかじめ「占星術殺人事件を新たに解釈しました」って話通した上でやってたら
違った反響もあったんじゃないかなあ

とはいえ(ネタ気味に)楽しみつつ読めました
ぜひ異人館村とセット、できればこちらからで

そういや劇中で探偵君がホームズ(実在する扱い?)の粗を突っ込んだり
リアリティの弱さを語る場面がありまして
この作品でそれを言うのか、と皆さん思ったのでは…

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