『SPY×FAMILY』

マンガ

スパイの父、殺し屋の母、超能力者の娘という特殊な家族の物語
人の心を読める娘以外は互いの素性を知らない

圧倒的な超一級作品
ドタバタ劇とスパイミッションの両面で魅せる

疑似家族を通じてそれぞれが家族の温もりに目覚めてく要素
頭脳戦と肉弾戦の要素
娘の成長、同級生たちとの交流の愛らしさ
何より秘密をめぐってのすれ違いという鉄板のパッケージ
ヴィジュアルも躍動感がありスパイものに恥じないオシャレさがある
とにかく可愛くて楽しい

結論としては抜群の良作で万人に推せる、とことわった上で
それ以外の部分について述べたい
絶賛は他の人たちに任せます

ギャグとシリアスの両幅に大きく振れるがゆえの問題と言えるか
まず夫婦(特に夫)が万能すぎて
ギャグやる分には便利なんだけど(身に覚えがある)
能力がカンストしたキャラに盛り上がる勝たせ方しようと思うと
敵側もすごい有能にしなきゃならない
のね

しかもあっさり勝っちゃうと前の強敵より弱かったように見えるから
高度すぎてこじらせた駆け引きや長尺の死闘に陥りやすい
長期連載になるほどこのインフレが進むので
今後厄介になってくる可能性がある

もう1点
一見善良な人しか登場しない世界観のようで
それを立たせるための絶対悪に頼ってるんだな

悪は排除するしかない、決してわかり合えない
ある種西洋的な善悪観というか
いい悪いじゃなく、ただちょっと優しくない感じがする

系統の近い暗殺教室はさらにその傾向が強かった
逆にファブルはヤクザにしてもカタギのクズにしても
一個の人間として寄りそった描写で
メインキャラを立てるための記号として消費するような荒さはなかった
それこそ話し合ったら、あるいは育った状況が違ったら
多少は理解に近づける可能性が見える…

アメリカ映画的に犯人をきっちり殺して終わる形より
日本映画的に犯人に同情して説得する形が好き、みたいな
あくまで好みの話で
私のような古い日本人は後者なんですよとw

コメディと人死にの同居についてはまたあらためて。

タイトルとURLをコピーしました