『砂の栄冠』

マンガ

高校野球というメジャースポーツがあって
高校野球マンガが昔からものすごい数生産される中
何を売りに差別化するかはちょっとした大喜利状態かもしれません

本作の特徴は心優しい支援者から託された1000万円を甲子園行きに役立てること
…なんですが、それが前面に出ないくらい要素が豊富にあります
甲子園未出場の公立校で主人公の七嶋以外弱い(しかも多少態度が良くない)、
監督が超足引っ張る、OB会も勝手なこと言う…

まあこれだけ逆境づくしのおかげで
投げても打っても強い、仲間思い、恩人に礼を尽くす、面倒な大人は器用にかわす
チート級主人公でもバランスを壊さず作品成立できてる節はあるのかな

甲子園は観客の力が試合内容を左右するため
いかに客を味方につけるかというテーマがもう1つの柱で
甲子園行った後の心配できる立場かと疑問に思いましたがw
前も後も十分に魅せてくれました
作者(ドラゴン桜の人)監督にスポット当てたやつも描いてるし関心強いんだろうな

七嶋の人物像は典型的な優等生と見せかけて
案外ドライな過去があったりダメな大人に辛辣だったりと味わいがある
野球大好きとか絶対プロなりたいとか標準装備が全然ないんですよ
大金の使い方は提供者の意に沿っててたぶん違法性もなし、
本心を見せないで愛想よくするのはコミュニケーションとして普通のことなので
「お前自分のこと悪人と思いすぎ」と突っ込みながら読みましょう

元々高校野球のガチ勢じゃない部員たちである程度仕方ないとはいえ
真面目に頑張ってる主人公がチームで浮くのを見るのは心苦しい
(恩人に報いるためだけに野球やってるのか、もはやモチベーションの源泉が謎)
その点で高校野球マンガのライト層にはちょっと勧めにくい良作です。

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