『寄生獣』

マンガ

もう格が違う
一般の作品と同列には語れない不朽の名作です
さすがに絵柄や口調は古びても感覚の鋭さは揺るぎない
青ルパンの密度に出会った驚きというか、
かつてこれだけ激しく心を揺さぶってきたのは銀と金くらいじゃないだろうか

人間に寄生する生物が発生した世界の
イレギュラーで腕だけ乗っ取られた主人公の戦い(と共生)の物語、
他の知的生命の視点から人間のエゴを描き出すメッセージ性という点では
核心はシンプルかつオーソドックス
ただ洞察が深く芸が細かくて各キャラのちょっとした言動からも目を離せない
ダイジェスト版かってくらいに名場面が目白押しです

展開が早くアクション要素もあり
何よりキャラ一人一人の存在感が圧倒的
そのおかげでメッセージの強さが説教くさくならない
その上ちょいちょいユーモアが効いてる
本人(寄生生物)はいたって真剣でも常識のギャップから笑いが生まれる
近年だとザ・ファブルで見られるタイプのやつですね

また頭部に寄生するという性質が絶妙で
圧倒的な殺傷能力はおそらく地球最強である一方
知能は発展途上で個体差があり
ボディは人間のままのため刺されたり撃たれたりしてあっさり死ぬ、
つまりほぼ人類が太刀打ちできる範囲の強敵なので
物語を現実に近い緊張感の中で展開できる

才能の鬼、センスの鬼たる作者に平伏するばかりです
きっと創作の本来の形ってこういう魂こもったものなんだろうなあ
メディアミックス周りがごちゃごちゃしてもたついた様子もありますが
この作品が(マンガに限らず)後のクリエイターたちに与えた影響は大きいはず。

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