『橋下主義解体新書』

質問します
政党支持率が過半数なくても
ちょいちょい不祥事起こしたり批判浴びたりしても
なんだかんだ自民党が負けないのはなぜでしょう

正解は対抗が弱すぎるからです
民主とか共産とか左寄りのメディアが信用できないので
「他よりマシだろう」「ダメな奴らが批判してるから善寄りなのかな」ってなるんです
ぶっちゃけ維新周辺の印象にも同じものがあります

普段の自民は「野合だ」と批判してきたわりに都構想では共産とタッグを組み
毎日新聞が盛大にフェイクニュースばらまいたのも記憶に新しいですね

ざっくり言うと反維新の勢力は
反自由主義組と利権保護組と外国警戒組から成るイメージで
だから左端と右端がつながるという不思議な現象が見られるw
(著者も右傾化警戒の文脈で語るが少なくとも維新は右派ウケが悪い)

それじゃ大ざっぱってことで論理的な批判を見たかったんですが
この本はまたも完全にハズレ
ちゃんとした本があったらどなたか教えてください

さてこの生産性のないエントリーにどれくらい尺を割くかだな…

問題の核心はこれ、想像に基づく人格攻撃なんですよ
就任後すぐじゃないんだし
具体的な根拠やデータに基づく批判はできないのか
経済学者ならそこに軸足置くのもアリでしょう

事実維新は躍進してないながら大阪では一定の支持を維持してる
「橋下がいなければ成立せず離散する」の記述も空振ってます
(都民ファーストの会がいい比較サンプルになるかと)
これだけページ数かけるならもっと客観的な数字を入れてほしかったですね

1.人間性って大事か?

個人的な交流はないので橋下徹の性格は存じません
しかし著者の言うようにろくでなしだったとしてそれが何だというのだ

たとえば自分のために歌ってくれる人を選ぶなら
歌の上手いクズより下手でも心を込めて歌う人、にワンチャンありますよ

でも医者の場合
仕事は確かなゲスと腕に不安のある患者思いの人、どっちに命を預けますか
そして政治家はどちらのケースに属するでしょうか

もちろん性格もいいに越したことはありません
ただもちろん社会人って何よりまず結果で評価されるんですよ
過程とか気持ちはその次です、そうでしょ?
国立大学教授には厳しい評価にさらされる機会がないんですかね

2.競争を否定してられる状況か?

そもそも日本は経済など行き詰まってて
特に大阪の行政は改革する必要があるって理由で政界進出して
その思いが有権者に支持されたから当選した訳で
公務員制度にメス入れるのは当たり前じゃないですか

民間と違うからって収支無視して公務員優遇し続けたらそりゃ破綻しますよ
労働組合民主主義なるパワーワードには度肝を抜かれました
これ以上保護してどーする

外部からのチェックのきかない組織が停滞してて
それを改めようってのが主張であり民意です
収支を整える人間がいなくなったら社会は回らないというのに
それを考えず文句つけるだけというのは実にいいご身分です

組合についてはあらためてお話ししましょう
なお競争を否定する制度や人に対するアクションを著者は独裁と称するのですが、

3.出た!「独裁者」「ヒトラー」呼ばわり

個人的にこれが出た時点で「レッテル貼り愛好家」のレッテルを貼りますw
反安倍界隈も含めてヒトラー好きすぎだろ…
(あとがきに至ってはオウムと並列に!)

まず安倍・橋下両氏とも人は殺してないですね
逆らう者は殺すヒトラーだ、信長だ、って時点で印象操作なんですよ

処罰されたりクビにされたりしても生きてるんですから
正当性がなければ告発など対抗措置がとれますし
でなくても転職して普通に生きていけます

そもそも「独裁」ってやり方に過ぎないので
定義や解釈で何とでも言えるでしょ
銀河帝国と自由惑星同盟どっちが幸せかって議論もありますね

独裁であろうとなかろうと実績が認められなければ4年後の選挙で負けて辞任、
任期前でもリコールされれば辞任、
総理の場合リコールはないですが支持率落ちれば別の人に変えられるし
衆院選で負ければ内閣まるごと変えられます
激弱じゃん!

習近平や金正恩を国民が辞任させる方法は思いつきませんが
日本の総理や知事を辞めさせるのはずいぶんハードルが低いでしょ
舛添元知事なんかはリコールがチラついた時点で自ら辞めました

あと“福祉のひったくり”ってのもまるでポケットに入れてるかのように聞こえる
これも印象操作ですね
略奪という表現も繰り返されますが、ではその略奪したお金はどこへ行くのでしょう?
税金を集める・使うポイントを変更することはすべて略奪って解釈なのか??

無責任に無い袖振ってきたのを見直すことすら許さないのかなあ

4.想像なのに辻褄が合ってない

で結局橋下徹が大ナタ振るう理由は何なのか

「金の亡者だ」との言及がありますが
お金第一なら弁護士兼タレントの座を手放すのはナンセンス
「選挙に勝つことだけが目的」ともあります
でも知事になって満足なら当選後は無難にやるでしょう
勝ち続けたいなら実績は作りにいきますよね

「権力を欲してる」と「いつでも引退するだなんて覚悟が足りない」を加えるとさらにカオス
長く務める気がないのに権力基盤を固める意味はあるのか
(後に都構想否決で自ら辞めたのは周知のとおり)
そして勝つこと自体が目的になるのは政治家以外やれない・やりたくない人であって
むしろ真逆の属性です
そういう人が国民一般より組織支援や献金くれる業界を優先するからこそ
維新は“しがらみのない政治”を掲げてる訳で…

「こいつは悪い奴だ」という結論ありきですべての面に×をつけようとするから
話の整合性がグズグズになるんですね

おわりに

ちょっと読めば明らかにひどいのがわかります
普段見かけるダメな本も出版される上で一応の水準はあったんだなと気づける、
この文章で本が出せる・大学教授にまでなれるんだと自信をもらえる、
くらいしかメリットがありません

お金や価値って自動的に・無尽蔵に湧いてくるものではないんですよ
そういう事実が見えない人にはどんな言葉をかければいいんでしょう

税金は払いたくない、行政サービスは受けたいってのが勝手な国民の感覚なので
嫌われる覚悟のある政治家がブレーキかけないと崩壊するってことが確認できる
まあこの人そもそも高税率の福祉国家志向ってのはあるのかな
しかし学者なら歴史と経済のスタンスくらい区別してくれよ
(ついでに慰安婦に関する虚偽報道は後に朝日新聞も謝罪・訂正したぞ)

いずれにせよ事実に照らせば「金目当て」「権力目当て」の主張は無理がある
少なくとも信念と公益志向に基づくという部分は疑いようがなく
議論すべきはあくまで施政の是非・成否なんですよ
「橋下徹が嫌いだ」という感情にとらわれるあまり人格批判に偏った人、と
勝手に分析して締めたいと思います
なっが!

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