『わたしは分断を許さない』

サブタイ的なのを引用するのが早い

香港、朝鮮半島、シリア、パレスチナ、福島、沖縄。
「ファクトなき固定観念」は何を奪うのか?

というように、分断の現場を訪ね声を聞いたり
専門家と対談したりしたものを綴った映画、の書籍版(?)

まさに知ること自体に意義がある、読み甲斐のある充実した内容なのですが

・同列に並べて共通の主張を抽出できるか疑問
・分断はあくまで別の問題の副産物である

現象に似たものがあっても背景が違うから並べて論じられないのではないか
そもそも分断自体が原因ではないため
たとえば香港の民主派と親中派の溝が埋まったら中国は人権を認める国になるか
ならないでしょ
北朝鮮人との交流・理解が進めば拉致被害者の情報が開示されて
ミサイルは飛んでこなくなるのか
ならないんですよ

議論する、不毛な争いをしない、相互理解に近づくことは大切ではある
ただ根本的な問題は解決してないのだ

そういう視点こそ“大きな主語”なんだと言われるかもしれない
とはいえ“小さな主語”が機能するのは偏りを直す、バランスをとる上でのことで
そちらに振り切るほどあらゆる政治決定は困難になります

国連常任理事国5か国ですらしばしば全会一致しないのは周知のとおり
決められないということは公共の力が弱まることであり
めぐって弱者ほどそのあおりを受けます

かつて分断されてなかったのはなぜか紐解くと
情報源がテレビや新聞などに限られてた、流行を作る力が集中してたことも背景にある
(こういう視点は対談中にもありましたね)
情報が充実し文化が多様化した時代の一側面ととらえれば悪い意味ばかりではない
その中で人間的な理性や思いやりをなくさず
分断とうまくつき合ってくことが大切なのではないでしょうか

なお公正な立場を心がけつつもところどころリベラルに寄る印象です
まあジャーナリストってそんなもんかな

ただ自分に厳しく他人に甘くというのは個人としては日本的な美徳と言えますが
国際社会でやるとカモられ放題です
自分に厳しいのと同じくらい他人にも厳しく、
ファクトに基づく議論をしていただきたいと思います。

…このエントリーをウーマン村本にも捧げたい

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