『ラスト サムライ』

映画・ドラマ

侍ジャパンが始まる前に録画ストックを消化
明治維新後に侍の残党を討伐するべく雇われたアメリカの軍事顧問が
捕虜になって隠れ集落で暮らすうち侍の心に触れすっかり絆され
寝返って一緒に戦うまでになるお話

アメリカ人の、ついでに日本人も見たい“サムライ”像と
日本ウケのいい滅びの美学ががっつり描かれる
シンプルでわかりやすいけどちょっと長いかな
大作感出さなきゃいけない事情があるんでしょう

イメージと実際のサムライ像の差については
残念ながら知識不足で語れない
自国の歴史や文化をよく知っとかないと恥ずかしいってやつだな

普遍的なテーマに落とし込むと
時代の変化に対応できない人たち、とどう向き合うかというのがある
文明が未発達の時点ならまだ同情の余地があるが
情報や手段の充実した現代においてはワガママの部類になり得る
公益とぶつからない範囲でやってくれと思ってしまいますね正直

吹き替え版だと日本人が英語でしゃべる場面とアメリカ人が日本語でしゃべる場面が
一切判別できないため、字幕版を強く推奨します
勝元の英語がカッコよすぎる(上手いかはわからない)のが気になって
当時の日本人の英語なんてもっとゴツゴツした泥臭い音だったと思うんだけど
映画としての見映え優先するのはやむなしか

さてそもそも私、
侍がすばらしいとか偉大だって感覚がわからないんですよ
カッコいい・好き等はフィーリングだから何でもいいんだけど

まず日本って明治以前外敵の脅威にほとんどさらされてなくて
国を守る戦いをやってないですよね
国内の小国・勢力が争うことはあったものの江戸時代にはもうなかった
信長のとき既に銃の有効性が明らかになったはずなのに
なんで鷹揚に刀を振り回していられたのか、
それはガチの戦争がなかったからでしょう

要は侍って社会の役に何か立ってたかと
政治家や役人の役割を負ったにしても武士全員ではないだろうし
政治家役人は偉いのかって話でもある
ちゃんと国外に目を向けて情報収集と戦力の整備をやってたら
ペリー来航に慌てなかったし倒幕すら必要なかったかもしれない
本当に武士を評価できる理由がわからないわ

なお
徳川幕府にすべて捧げた武士だったらまだ二百数十年の重みは出得る
でもその人たちはたぶん遅くとも戊辰戦争時点で消滅したでしょ
実際渡辺謙こと勝元は明治天皇の信任厚い人物である

しかし武士という存在が歴史上長い間天皇陛下を主君として
その忠義に生き続けたかというとそんなの聞いたことがない

なんか荘厳な雰囲気出してるけど結局生き方を変えられない・変えたくないだけの
あんまり大義を伴わない身勝手に見えちゃうのね
そんなに美しいかなあと、言ったら怒られるだろうか。

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