『少女』

湊かなえなので基本的にエグい
できすぎた話というか、すさまじい世間の狭さに突っ込みも多々ありそうですが
リアルが弱いって理由で物語を楽しめない人はかわいそう
(まあシナリオ中心に見る私は
役者やカメラワークにこだわる人からすればかわいそうなんでしょうが)

生の死に触れたいと思う友だち同士の少女2人が
知らずに似た目的、似たアプローチで行動する様をそれぞれの視点で展開、
クライマックスに向けてより合わさっていきます
その要素の積み上げ方がテクくてニクい

圧倒的な悪い予感、友情と解放感・爽快感に加え意外性もあって
無心で楽しむだけでも十分なボリュームですが
さらにここから何を読み取るか、ですよ

考えてみるとこの話ほとんどまともな人がいないんですね
正確には皆だいたいはまともだけど、誰もがちょっとずつ悪意(身勝手さ)をもってる
それが連鎖反応し合うことで世界はこんなにおぞましくなる…
はたしてこれは作品の中だけの話だろうか、と

動きが豊かで一見映像向きなようで
2人の内面から語られることが重要である本作、
モノローグ入れまくるのも芸がないしどう料理したかちょっと気になるところ

あとこの手のドライな少女像とか踏み込んで描くと
「若者のリアルを鮮やかに切り出してる」とか中高年が絶賛しがちなイメージが(偏見?)

若者のリアルわかるの?って問い質したくなりますが
女性の場合「私たちも若い頃こうだったわー」って思うもんなんかな。

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