『第三の時効』

素人感覚で言うと刑事ものと探偵ものの違いは大きくない
同じ殺人事件等を解決する括りの
地道に固めるのが刑事で奇抜なトリックに挑むのが探偵、くらいのイメージでしょうか

そんな中本作は完全に刑事たちの物語
強行犯捜査係の3つの班が活躍する短編連作形式で
とにかくクッソ面白い

事件にアプローチする過程で警察組織のしがらみが常につきまとうのは
まったくのフィクションという訳でもなさそうですね
内部での過剰な競争やマスコミのすっぱ抜きなんて悪習に見えますが
きっとそれなりにメリットもあってバランスが成り立ってるんでしょう
官僚の天下りや省益至上主義だって負の面ばかりではないはず

ところで
一般に下ネタが邪道なのは品がないことに加え安易だからって理由もあると思います
その意味で笑いや気の利いた会話なんかも物語を円滑に魅せやすいツールですから
一番難しくて高度なのはそれすら用いず作品を仕上げることと言えます

シリアスの中の・シリアスゆえの笑いすらなくこれだけ熱中させるのはもう神業ですよ
その分行間まで集中力が要ったり非主要キャラの把握が難しかったりしますが
短編が終わるごとにちょうど息をつけるので心配無用

映像用に表現を噛み砕いたりジョークや和み要素足したりすると
相棒みたいな形になるのかな

ともあれ
私生活どころか人間性まで犠牲にして奉職する方々には
本当に頭が下がるやら申し訳ないやらです
自ら鬼にならなければ鬼に立ち向かうことはできないということなのか…

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