『地獄で見る夢』

森岡浩之のSF
星界シリーズはかなり止まってますが他で書けてるならよかったかもしれん
さすがに盤石のクオリティで
ラノベのとっつきやすさと小粋な一人称描写を併せ持ってます

死後も電子の世界にデータとして生活できる(生者も行き来できる)、
かつ生きるには維持費用を払い続ける必要がある、金イコール命の世界
TIMEって映画のイメージが近いが
SFとしてはわりとありそうな、ぶっ飛んでない設定ベース

とはいえ記憶とともに“意識”を移植・コピーすることができるなら
仮想世界ごと作る前に全身機械の身体で生きる技術が普及する気はするかな
攻殻機動隊のイメージ(うろ覚え)

さらに詳細を詰めてたり前日譚があったり
一作で終わりにするにはもったいない規模の世界観だなと思ったら前作があった
まあここからでも全然問題なくいけます
執筆年代的に次回作も待てます(たぶん)

この未来感あふれる入れ物に対して
中身は古典的なハードボイルド系探偵のシニカルな生態(往年のADV感も)
しかも昭和を模した空間設計のため
新旧の対比あるいは融合感が強まる

そこで弱者が強者の遊びのため踊らされる図が
科学の進歩した社会ならではの形で繰り広げられます
技術自体は選択肢や可能性を増やしてるだけで
あくまで運用する人間や制度の問題なんですけどね。

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