『氷雪の殺人』

内田康夫の浅見光彦シリーズ、のことはよく知らず
文庫の通し番号の浅いとこから抜いたつもりが
過去作品の量が尋常じゃなかったw
でもまあ予備知識ないと楽しめないことは全然ないです

偉い政治家の密命を受けて不審死の捜査に乗り出すルポライター探偵
トリックやアリバイを解きほぐす類の内容ではないが
歩いて集めた情報から推理を組み立てる点で探偵的なのかな

主人公が高級官僚の血縁ということもあり
防衛省に深く切り込みさらに読者に国防意識を問う
重厚で格調高い大御所感ただよう作品で
政治批判的な側面を出しつつ一方に加担し過ぎない、
配慮深い健全なバランスがあります

さらにすごいのは
ウニを食べたくて利尻島に行ったおまけのように構想を始め、
連載中に実際起きた事件(テポドン発射)を自然に組み込んだという制作過程です
これが一流の仕事かと感心するほかない

正義の他に組織の自浄というテーマもありますね
家族とかの事案ならまず事情を聞くものでしょうが
大きな集団では立場が悪くなる(追放・抹殺される)リスクがありますから
すぐ告発に向かう姿勢を責められるかは疑問です。

タイトルとURLをコピーしました