『コウノドリ』

マンガ

産科医の仕事ぶりを通して描かれる出産関係の様々な事例
ちょいちょい情報の羅列になるがそんなの吹き飛ばすくらい圧倒的良作

ジャンルとしては鉄板の医療もので
普通の大人が普通に仕事に向き合う力強さは有川浩愛読者によく刺さる
奇抜な色をつけなくても自然と各キャラが立つ作品は美しいですよ

産科ってことでひときわ生命の輝きが映える
自分や子の誕生に思いを馳せたり将来へ心と知識の準備をしたり
物語の楽しみに意義や役立ちが加わった充実の内容です

大人だけでなく中高生に特に読んでほしい
ピアノの森を全国の小学校に、
これとドラゴン桜を全国の中高に配りまくりたいわ
少なからず未来を明るい方向へ軌道修正できるはず

しかしだ
名作だけに
主人公の隠れ有名ピアニスト設定が惜しい!
これは本当にいらんやろ

確かに世の中には2足のわらじで成功する人もいます
ほぼセンスのみでいきなり上手い芝居をしたり面白い小説を書いたりするケースは
比較的ワンチャンあるでしょうが
医者や弁護士はそれなりの時間と努力が必須、いきなりはなれん
親が教育費ブーストしまくるような特殊な環境があるでもなく
医学部に入って、学んで、勤務医しながらなれるほどピアニストって簡単な仕事なのか?

たとえば水上颯は愛するクイズのテレビ出演から離れた
福岡堅樹は現役でやれる歳なのにラグビーから離れた
医者やるってそれくらいハードな出来事なんじゃないの
かの手塚治虫だってさすがに勤務医しながらマンガは描いてない

当たり前のようにある出産とそれを支える人たちがこんなにも得難く愛おしいってのが
本作の大事な大事な核をなす部分なのに
主人公をスーパー才能モンスターにしちゃったら台無しです
「まあ所詮フィクションだからな」って冷水ぶっかけられた気分なりますよ

趣味でピアノも弾く、程度でよかったじゃん
広く認知されてて外国のアーティストと交流あるレベルにまでした意味は何だ

逆にどうしても一流ピアニストとして描くのを譲れないなら
(二刀流で)プロになるまで・なってからの苦労や工夫もじっくり丁寧に掘るべきでしょう
こんな医療現場の息抜きみたいな扱いじゃ音楽業界に失礼だわ。

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