『白ゆき姫殺人事件』

面白かった!いろいろ書きたいことがある!

残忍な殺人事件の顛末を、関係者への取材と記事、ネット上のコメントから追う構成で
善意の皮をかぶった大衆のゴシップ精神と
「取材したことを載せてるだけ」と悪びれもせず煽るマスコミの醜悪さを
リアル感を伴って食傷するほど見せつけてくれます

こういうの見て「人間って醜いなあ」と思う人たちも
結局素行は同類だったりするから恐ろしい
(お前はどうなんだ、って?)
このへんは湊かなえのお家芸ですね

あとネットにそんなあけすけに何でも書くか?と思いかけましたが
ツイッターに犯行動画上げて自爆する奴が多発する昨今これもまたリアルだなと

そして1つ大きな不満がある、出版社に

もともと取材文プラス資料、の形で連載されてたのに
本だと最後に資料まとめたもんだから
順番に読んでくと作品の肝である記者の薄っぺらさが最後まで伝わらず
作者の意図した印象とずれるのよ…
勝手に順番いじっちゃダメ、ゼッタイ

それにしてもネットの書き込みや週刊誌・新聞の記事を交えた実に完成された作品で
ホント作家ってすげーなと
自分のやってることなんて小手先のハリボテ、子どもの遊びだなと痛感しますが
ないものねだってもしょーがない、僻みは人間を醜くするばかり(登場人物たちのように)
B級C級にもそれに見合った輝き方があるのです

そして基本思うのは
小説って基本全部1人でやるのに
すごい人数と予算かけても映像化が原作超えることってほぼないよなと
まあ見えない部分はイデアみたいなもんなので当然っちゃ当然なのか

そしたら解説が映画監督やった人で
原作の解釈を掘り下げてオリジナル要素加えたみたいな話があって
珍しくちょっと好感と興味持ちました

ただその矢先犯人が最後までわかんないこと褒めてるんだけど
そりゃ犯人がウソついてて読者に十分情報提示されてないんだから当然だろとげんなり
読者が謎解きできるスタイルになってなくても
作品として見所があれば別にいいとは思いますが
ミステリ的には邪道の部類かもしれん。

追記
ざっとレビュー見てみた感じやっぱり順番いじって資料最後にまとめたせいで
評価が悪い方に引きずられてる…この罪は重いぞ

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