『日輪の遺産』

通りすがりの爺さんから譲り受けた莫大な財産、マッカーサーの宝にまつわる物語
これを隠蔽した終戦前後と手帳の回想を読む現代を行き来しつつ展開、
ずばり言ってその年1番級の傑作です

まず国の存亡という緊張感・誇り・思惑のズレなどがベースにあって
歴史上の人物が絡み現代とも結びつくことで史実のように重みが出る
歴史の動きに翻弄される人たちへの目線も細やかで
描写に繊細さ・格調高さ・文化理解がすべて出てます

単純明快な宝探しとしてまとまってない点で王道路線から外れるかもしれませんが
裏を返せばリアリティの強化に貢献してると言えます

惜しまれるのは洒落た文章があだになって内容が理解しづらい点、特に過去パート
人物の年齢や相関も微妙に不安になります
普段読書するときの集中レベルではしんどいw

可能ならやさしい文書ける人による加筆版出すなり
特別ドラマとかで映像に起こしてほしいわ
(映画は作ったみたいですが2時間じゃ味気ないでしょ)
入口広げてやればさらに伸びしろあると思いますよ

ちょっと気になったのが軍でもバンバン英語使うとこと
米軍首脳陣が日本にかなり恐れと敬意もってるとこ
このへん実際はどの程度だったんでしょうね

あと作品というより史実の話、
戦後の清算(東京裁判)見越してたら
酷だけど軍の偉い人は自決するより処刑を待つべきだったよな
代わりに下の者が引きずり出されるからさらに国の損失が増しちゃう
ビュコック爺さんが説得されて踏み止まった、まさにアレです。

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