『現代世界のファンタジー化』

中:皆さんこんにちは、ファッキンジャップの中田です
田:田中です
中:今回はちょっと変わった趣向で、
 第2回ⅡⅤクリエイターアワードに漫才で参加させていただきます
田:よろしくお願いします
 どんなアワードなんですか
中:なんかテーマに沿った作品ならなんでも来い的な感じで
田:ざっくりいったな
中:まあ公式サイトの情報繰り返してもしょーがないし
田:でテーマは何なんですか
中:それが「現代世界のファンタジー化」です
田:おおファンタジー
 みんな大好き剣と魔法の世界ですね
中:(ため息)
田:ん
中:まただよ
田:どうしました
中:また異世界転生かよ
 猫も杓子も転生、転生、転生、転生・・
 多すぎるだろ異世界モノ、どんだけ行きたいんだ一体
 転生の前に現世でがんばれよ、現実逃避してんじゃねーよ
田:落ち着いて
中:言っとくけど生まれ変わりは無いからな
 10000歩譲ってあったとしても記憶引き継げないんだから無いのと同じだ
 現世から目をそらすな、空想じゃなくて「今」を生きろよ!
田:・・
 内容の是非はともかく、
 家でせっせとコントとかゲームの脚本書いてる奴には言われたくないと思う
中:違いない
 現代世界のファンタジー化なら現世ってことで大目に見よう、OK
田:わー偉そう
中:で早速だ、さっき剣と魔法っつったよね
田:うんうん
中:銃刀法違反なので剣はダメです
田:のっけから半身もってかれたよ
 えどうするの物理攻撃
中:武闘家系のジョブなら素手だし
 学者になって本で殴ってもいい
田:本て。いやそういうゲームもあったけども
中:心配ご無用
 魔法だけで広がる可能性無限大ですよ
田:まあ何かと便利にはなるのかな
中:そうその通り
 現代社会の悩みいろいろあるでしょ、たとえば何か
田:んー満員電車
中:それだ。学生も社会人も毎日ラッシュに揉まれてしんどいですよね
 魔法の力でその憂鬱な気分をほんのりやわらげる
田:微力だなあ
 もっと抜本的なアプローチはないの
中:これそもそも東京に一極集中させすぎなのよ
 はたしてこの国家デザインは今の時代に合ってるのか、地方分権や道州制から――
田:そういう話は聞きたくない
 現世でがんばる件はいったん置いとこ
中:あと満員電車はやっぱ痴漢と冤罪も恐いですよ
田:ああ恐いですね冤罪
中:そこで疑いをかけられてしまったときに、魔法の力で憂鬱な気分をほんのりやわらげる
田:解決してよー
 憂鬱の発生源が放置
中:魔法の力で弁護士を呼ぶ
田:電話で済むやつ
 スマホで弁護士探してスマホで電話かけられるでしょ
中:確かに。スマホすごいね、魔法みたい
田:うんスマホはすごいんだけどここでそれ言うと魔法がかすむんだわ
 主旨
中:あれ何すればいいんだっけ
田:問題を解決しよう。満員電車の
中:じゃテレワーク、在宅勤務がもっと普及するように働き方改革して――
田:魔法を使ってください
中:名医も名探偵も出番がないのが1番
田:ほら会社に着いたらパワハラ・セクハラ上司がいますよ
中:いいこと言ったのに
 まあまかせなさい、嫌な上司には
 どくさいスイッチ(青狸風に)
田:未来の科学
 すこしふしぎなやつ
中:ってか労働基準監督署に相談しましょう
田:そんな正論は聞きたくない
中:そうだ生活に密着したとこで、ライフラインが安定供給できるようになりますよ
田:ライフライン
中:夢の水道光熱費ゼロ実現です
田:大丈夫なの
中:水の魔法で水を出す、火の魔法で火を出す
 電気・・
 水をいっぱい出してタービンを回す、火を出してタービンを回す、風でタービンを回す
田:電気だけ回りくどくない?
中:タービンだけに
田:やかましい
 いや「タービンだけに」は無理。みんなタービンにそんな馴染みないから
中:回すことによってこう電気が
田:説明するな
 じゃなくて雷の魔法あるでしょ。電気も直にとろうよ
中:まあ発電所で雷起こせばいいか
 これで脱原発とCO2削減も同時達成です
田:すごいな。急にすごい
 でも魔法は便利だけど、モンスター出没したり困ることもあるんじゃない
中:そんなときは業者におまかせを
 「お電話ください、モンスターが巣を作ってしまったら撃退にまいります」
田:おお頼もしい
中:「腕利きのスズメバチハンターを派遣いたします」
田:ちょっと荷が重くない?
 あ、そんな装備で大丈夫か?
中:・・
 「オプションで爆れつハンターも
田:言ってくれなかった
 しかもやっすいボケ
中:で狩るだけじゃなくて、モンスターの肉食べられる店とかできるの
田:まじすか
 あれ何グルメなんだ、渋々食べてる訳じゃないのね
中:「やあいらっしゃい、モンスターキッチンだよ
 今日はいいゾンビの肉が入ってね」
田:アンデッド系は食べたくない
中:大丈夫だ、発酵食品だから問題ない
田:物は言いようだな
 ・・ここで言うのか!
中:※適宜エルシャダイでググってください
田:でも肉にされるようなザコはともかく魔王とかボスクラスと戦える猛者が
 今の日本にいるだろうか
中:そこは敵さんもプロだから、各国足並みそろえて対抗しなきゃ
田:ほうほう
中:多国籍軍で
田:それは本気のやつ
中:日本は参加できるかわからんけど
田:えっなぜに
中:自衛隊は基本自衛のみだからね
田:いや人類の安全脅かされてるんじゃないの
中:そこが1つ争点だな
 モンスターは徘徊してて襲ってくるけど、あれははたして組織的な攻撃といえるか
田:組織的?
中:だって町とか村だいたい平和じゃん。むしろ勇者側が敵のダンジョン侵略してない?
 しかもだいたい先に攻撃するでしょ
田:え~
 そういう節もある・・のか
中:自衛隊派遣には世論も厳しいし、お金出すだけになるかもね
田:湾岸戦争の悪夢が
 何だろ、ファンタジーになっても劇的に変わる訳じゃないんだなあ
中:そうそう楽な道はないですよ、他人任せじゃいけません
田:結局現世でがんばる話になるのか
中:おあとがよろしいようで
田:ちょっと待って
 今さらで恐縮だけど「現代世界のファンタジー化」って
 それをテーマに素でくっちゃべるんじゃなくて
 我々がファンタジー世界の住人になるのが正しい姿なんじゃないかな
中:・・
田:つまり
 「武器は装備しないと意味がないぞ」「膝に矢を受けてしまってな」
 こういうの
中:そんな、
田:?
中:そんな正論は聞きたくない
田:正論って認識はあるんだな
中:もういいよ、こんなネタさっさと切り上げてロードスオブザリングでも見よう
田:混ざってる混ざってる

Vtuber漫才『現代世界のファンタジー化』【ファッキンジャップ】

作者コメント

ファンタジーのはずがおそろしく理屈っぽいネタだ・・
って何を今さら

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